「妊娠しやすいカラダ」インタビュー ~ (1)妊娠しやすいセックス
放生:今日は、どうしたら妊娠しやすくなるかということについて、お話しします。
聞き手:妊娠を考えている人が、セックスをうまく妊娠に結びつけるということですね。
放生:一言でいえば、妊娠を考えないことかもしれません。
聞き手:リラックスということですね。
放生:妊娠を意識してセックスをすると、妊娠しにくいということです。要するに『妊娠力』にも書いた通り、妊娠、妊娠と意識すると、セックスがぎこちなくなるという問題があります。一般に妊娠を考え出すとと、女性の方がのめり込み、男性の方が引いていくという感じになりやすい。意識のズレが生じてくるわけです。
不妊治療を始めると、卵胞チェックというのはご存じだと思いますが、卵巣の中で卵胞というのが排卵に向けて、だんだん大きくなっていく。これが直径が2㎝前後になると排卵する。医師は、経膣超音波法で卵胞の大きさを測り、「今日18㎜だから、明日排卵するから明日の晩頑張って」と女性にインフォメーションを与えるわけです。そうすると女性の意識が高くなる…。そうすると男は引く。例えば「明日排卵するから今日よ」と言われれば残業する。
聞き手:言われると途端に嫌になってしまうのですね。
放生:そういう状況を、僕は「不妊治療不妊」という言葉を使ったのです。ですから、話は最初に戻りますが、意識しないことが、妊娠に近づきやすいという話にもなるわけです。『新・妊娠レッスン』に、「妊娠しやすい人・しにくい人」と書いてますが、やはり気持ちが前のめりになるほど、妊娠しづらくなる。なぜかというと、妊娠を理屈で考えるようになってくるわけです。妊娠は理屈ではないというのが、僕の基本的な考え方です。「不妊ルーム」に来る方にも言いますが、「インターネットにはまると、妊娠は逃げてゆく」。そういう言い方もするわけです。理由は簡単で、インターネットで、「不妊」で検索し、気持ちが楽になることはないからです。
聞き手:どんどん縛っていくことになるわけですね。やらなくてはいけないことに。
放生:「不妊ルーム」の立場というのを皆さんに言うのですが、不妊治療にはステップアップという言葉がある。自然妊娠と不妊治療の間に、もうワンクッションあってもいいのではないか。つまり、何もしなかったら、不安は不安としてあるわけです。だからといって不妊治療には踏み切れない。不妊治療は少し怖い世界だという話もあり、ワンクッションおいてもいいのではないかと。『新・妊娠レッスン』には書いたけれども、ステップアップがあれば、ステップダウンもあるのだと。当初は「不妊ルーム」で妊娠する人の7割以上が、不妊治療経験者でした。最近はだいだい6割くらいになってきています。
聞き手:先生、それについては何かネーミングはしていますか? 自然妊娠と不妊治療のこの間の部分について。
放生:「不妊ルーム」での言い方としては、「ベースキャンプ」あるいは「中二階」ですね。
聞き手:中二階ですか。
放生:そういう位置づけです。